2014年3月3日月曜日

派遣エンジニアとキャリアパス

僕も昔、派遣エンジニアをやっていたことがありまして。いわゆる特定派遣ってやつですね。どっかの会社の正社員でありながら職場は別の会社で、そっちに毎日通うというやつです。僕自身の現場経験を思い出してみてもこの形態のエンジニアは多く、IT業界にはかなりの人口がいるはずです。

別に派遣エンジニアそのもの自体は悪くもないと思うんですよね。1つの組織にとどまらず様々な現場を経験するのはそれはそれで面白いと思いますし、バリエーション豊富な経験というのはエンジニアとしての財産であり武器になります。

ただし問題は、特にIT業界の構造として年齢の上昇とともに派遣エンジニアの受け入れ先が少なくなるということです。これはIT業界の構造が原因ですね。

派遣エンジニアの仕事が発生する主な場面の1つとして、システム開発を請負う会社がプロジェクトを受注し、そこで自社で足りない人員を募集するというものがあります。その際に人員募集の情報をエンジニアを擁する会社に流して、条件に合うエンジニアを派遣してもらうわけですね。派遣されたエンジニアは、受け入れ先企業ではチームリーダーの下に就くわけですが、プロジェクトのチームリーダは受け入れ先企業の正社員である場合が多いです。そしてその際に、チームリーダーより年齢の高い派遣エンジニアがいると気まずいだろうと受け入れ先企業は考えるんですね(僕自身はそんなのどうでもいいと思いますが)。だから、条件として明記してなくても、年齢の高いエンジニアは敬遠される傾向があります。

また、派遣エンジニアは炎上したプロジェクトに増員要員として現場に集められるケースが多々あります。そういったプロジェクトはスケジュールが既にかなり伸びてしまっており、赤字の危機(もしくは既に赤字状態)にあります。ということは追加費用はなるべく抑えたいわけです。だから、集める派遣エンジニアも安く済ませたいわけで、すると単価の低い若いエンジニアが選ばれてしまいます。(それで実際大丈夫なのかというと全く違いますが。)

このような事情があるいせいで、派遣エンジニアは年齢が上がると仕事が少なくなるんですね。

僕がIT業界に飛び込んだ時はこういう業界構造を理解してませんでしたし、最初に入った会社がエンジニア派遣で主に儲けていることも分かっていませんでした。だいたい求人情報には「エンジニア派遣やってます」とは書いてません。一般派遣と違って正社員ですし、求人情報見ても区別はつきません。ある程度業界経験積めば分かりますけどね。

それでも最初の切っ掛けをつかませてくれたという意味で派遣エンジニアは大きな意味がありましたし、業界の構造も知ることが出来ました。最初のステップとしてはアリだと思ってます。

ただ、今派遣エンジニアの人は、将来のキャリアパスを見据えて次のステップは早めに考えておくべきとは思います。ある程度経験を積んだら、例えば独立してフリーのエンジニア(個人事業主)になるとか、派遣エンジニアではないビジネスを自社でしている会社に転職するとかですね。ちなみにエンジニア派遣会社の営業になる人もいますが、オススメできません。(ここで書くと長くなるんで別の機会に。)

本当は、業界全体がもっと変化して年齢の高い派遣エンジニアも積極的に受け入れられるようになっていくのがベストだと思います。実際、様々な現場で経験を積んだエンジニアは頼りになりますよ。チームリーダより年齢が高いからと避けるのはもったいないし、高い報酬を出すだけの価値はあります。

しかしいかんせん、業界が変化を待ってたら先に自分が食えなくなるかもしれませんから、やっぱり対策を打つしかありません。

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4 件のコメント:

  1. はじめてコメントします。MGといいます。僕もエンジニアの働き方の一つとして派遣自体は悪いないと思います。ただ会社サイドは「人件費を安く抑える」とか「人員の調整弁として使える」といった嬉しさで派遣を使いますので、今後きっと海外の安い人件費を求める方向にシフトすると思っています。

    日本の製造部門が海外に工場に移転した様なことが、開発や設計においても起こるイメージです。

    そうなった時に、僕は国内の沢山の派遣で働いているエンジニアは職を失ってしまう。と思っていますが、どうでしょうか?
    しっかり、スキルを身につけてる方はいいかもしれませんが、ちょっと訓練すれば出来る様な仕事を続けている方は確実に職を失う。っと思っています。
    だって会社からするともっと人件費を抑えたいですし、システム設計は物理的な制約がないので、ある程度どこでも開発できちゃいますよね?!

    河西さんがゆわれる様に、派遣で働くエンジニアの方は将来のこと、自分のキャリアのことを考える必要があると思います。

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  3. >MGさん
    コメントありがとうございます。確かに、今後海外のエンジニアが使われるようになったら、国内の派遣エンジニアの立場は厳しいでしょう。オフショアの利用はさんざん叫ばれていますし。
    そもそも論になってしまいますが、特にソフトウェアエンジニアに関して言えば、「ちょっと訓練すればできるような仕事」ではないはずで、それを無理矢理分解して、スキルが乏しい人間にもできる仕事にしようとしたこと自体が間違いだと思っています。この点に関しては製造業とは明確に考え方を変えるべきだと思っています。例えばソフトウェアで設計とコーディングを分離したりしますが、製造業における製造工程とコーディングは本来全く別物と考えるべきです。にもかかわらず、無理やり分離するせいで悲劇が生まれ続けています。ちなみにご存知かもしれませんが、海外では一人のエンジニアがアーキテクトからコーディングまで一貫してやるのが当たり前で、仕様書通りのコーディングしかしない仕事なんてありえないです。
    話を戻すと、付加価値の低い仕事が消えてなくなっていくのは、ある意味で正しいことかもしれません。付加価値の高い仕事に絞りこまれていくことは、エンジニアの地位向上にもつながります。ということは、もしも派遣エンジニアでやっている仕事が付加価値の低い仕事であるならば、やはりキャリアをしっかり考えないといけません。こういう現象が起きているのを見ると、この業界はまだまだ未成熟なのだと思います。だからこそ面白い所もあるんですけどね。
    もちろんスキルをしっかり磨いていればさすがにいきなり職を失うことはなでしょう。現在海外に仕事を一部移転している会社においても、国内拠点でスキルの高い派遣エンジニアは使い続けていたりします。とはいえ、徐々に立場は厳しくなっていくと思いますので結局のところ結論は同じです。

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  4. >河西さん
    コメントありがとうございます。
    最終的には本人の意識の問題に帰結する気がしますね。

    河西さんが、派遣業界が未成熟でだからこそ面白みがある。っという考え方は納得ですし、前向きで好きです。
    業界もまだまだ捨てたもんじゃぁない。って 事ですね?!同じ業界で働く人間として勇気が湧いてきました!

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